fujibaka’s blog

見たことある風景とどこかに置き忘れてる思い出。

山科疏水

今週のお題「好きな公園」

 

たしか、

新緑の頃だった。

見上げたもみじの若葉が逆光に眩しくて、

少しバテ気味だったのを憶えている。

 

休日、

予定もなく

とりあえず駅に向かう坂道を歩いていた時

ふと、駅うらの「疏水べり」の歩道を思い出した。

鴨川と琵琶湖をつないで流れているとか

前の年の秋に初めて来た時、紅葉が美しかったのを思い出したようだ。

 

そもそも、

あてどなく始まった「散歩」に目的地などなく

新緑と道縁の苔を楽しみながら歩いた。

後々の「帰り道」の辛さなど微塵も考えずに。

 

堪能

した頃はすでに後の祭り。

折り返すきっかけを失っていた、

日差しが少し傾いてやわらかくなったのを言い訳にした。

折り返してみると、意外に「逆風」だった、

追い風に気づかずに調子良くここまで来てしまったようだ。

その帰り道には新しい景色などなかった、

平坦なくせに「来た道」より数段こたえた。

 

ふと

対岸を見るとそこには公園があった

新しい、

ブランコに滑り台にベンチ

そして

大きな木。

そこで休憩してる自分を想像しただけで癒される。

しかし、

向こう岸に渡る橋はまだ少し先にあるようだ。

心はとっくに折れていて

その橋まで歩くのは絶望でしかなく

今すぐにでも坂道を転がって帰りたいくらいだった。

対岸から眺めてる自分を

大きな木に冷たくも暖かくもない目で見つめられてる気がした。

それは公園で子どもを遊ばせながらベンチに腰かけた母親が

一瞬、子どもから目をそらせて何気なくこちらを見た時のような。

 

あとがきに、、、

「公園」とのお題、

いつも記憶にある公園はここで、

ふとした時に頭をよぎっていた。

たぶん、京都の街に受け入れられてなかったのだろう。

今回、一旦書き留めることができ

頭の中のハードディスクから外すことにする、

少し肩が軽くなった。

 

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座右の銘

「自ら計らわず」

その昔読んだ本の一説。

すごく重たい内容だった、

重たいのも仕方ないくらい時代背景が重厚な話だった。

主人公の座右の銘だと言うが、、。

東京裁判」で唯一軍人ではなく文官として総理までつとめ、

時代の激流と時の悪戯に翻弄され続けた人。

黙って「死刑」を受け容れた。

「他人に精一杯尽くして」みたいな一節が前提の言葉になるとか、、、。

日本人らしいと言うよりは日本人にしか理解できないだろう。

潔いこの短い言葉は本当に身に沁みる。

自分から動くのではなく周りに気を配り自分の事はその時の流れにまかせる。

なかなかできない。、

自己主張しないと埋没する世の中。

出来るできないは別にし、

そうありたいと願う。

#落日燃ゆ #広田弘毅

夏休み

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

 

学校の校庭の奥にある松林

その松の木の間から見える海。

船が通ったあとは 大きめの波が寄せてくる。

時々吹いてくる生ぬるい風、

南の空には入道雲

半袖に半ズボンにゴム草履、

麦わら帽子のザラザラトゲトゲが馴染む頃には夏休みも終わる。

入道雲が近くなると「秘密基地」で勝手に雨宿り、

足もとのアリ地獄を落ちてる松葉で掘り起こしながら雨があがるのを待つ。

夕立ちをやり過ごした帰り道は、 ずっと、くすぶってる自由研究をどうするかの大問題の思案。

もやもやしながら今日が終わる。

 

かき氷が食べたい時は

海の家をやってる友だちのところへ行き、

おつかいを頼まれるのを待つ。

黄色(レモン?)が好みだった、

赤(イチゴ?)を頼みがちだが。

瓶のコーラのビッグサイズも相当魅力的だったが、

よほどポイントを稼がないと手が届かない。

 

お盆には親戚が帰省してくる。

叔父や叔母、いとこ達に気遣いしなきゃいけない。

何より母さんが不機嫌なのが気になって、好きではない時間だった。

 

お盆を過ぎると海の色が変わる、

生ぬくかった風に冷たいものが混ざりだす。

この時期には島の北側の誰も来ないビーチを自転車で駆けると爽快だった。

あれだけ好きだった素麺も夏休みの終わる頃には忘れてしまう。

20日になると定期船の増便も終わり、 たかぶっていた島の空気を少しずつなだめていく。

友だちの海の家の片付けを手伝うのはちょっと寂しさもあった。

来年までかき氷はお預けになる。

かき氷の機械の横の黄色い蜜が残ったビンが気になった。

 

いっときしまっていた制服の開襟シャツを母さんが洗濯し直しして アイロンをあててくれる。

勉強机の周りを片付け宿題をまとめる。

手抜きした自由研究と 毎年同じ、家の屋根によじ登って描いた海と向かいの島の絵。

相変わらず海は青で島は緑、

さし色を知ってたらもっと点数を稼げたがそれはそれ。

 

この頃になると夜寝る頃には秋のムシの音が始まる。

せっかく麦わら帽子が馴染んできたんだけど…。

むかしの夏休みは上手くできてた

記録は三塁打

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日 」

空を見上げる余裕などなかった。

止まらない汗

初めて見た母校のブラスバンド付きの応援団

ベンチは一塁側。

見たことないほどの観客の数。

8回のオモテ

何とか1点をリードしているが どっちに主導権が渡ってもおかしくない展開。

次の1点が試合の行方を大きく左右する。

「1番サード〇〇くん」

憧れた場内アナウンスに呼ばれる。

 

3ヶ月前、 高校生になった

野球を続けるか、ためらう時間があった

同級生の中には入学が決まった春休みから練習に参加してたヤツもいた。

入部は一番遅かった。

初めて参加した練習では その時間があまりにも長く

そして、信じれないほど過酷で足が痙攣を起こしてコケた、

無理だと思った。

すぐに辞める理由を探してた。

鬼のような監督

女子マネージャーもいない男ばかりの殺伐とした部室。

グランドでは延々と続く練習という名の虐待。

練習着にマジックで名前を書いてるにも関わらず 呼ばれる時は 「おい」 「こら」 「おまえ」、、。

助かったのは監督の指導が厳しすぎて先輩後輩の上下関係が比較的緩かったことくらい。

一番最後に入部したにもかかわらず、レギュラーに抜擢されてしまう。

毎週末には練習試合が続く

辞めるも何も、毎日を頑張るので精一杯だった。

退部を申し出る時間すらなかった。

 

9番バッターの先輩が倒れて回ってきた、

たぶんこの試合最後の打席。

どうにかして塁に出るのがこの打席の仕事のようだ。

ベンチでは鬼監督がまさしくその形相で睨みつけている。

相手のピッチャーは3年生で今大会でも指折りの好投手、

キレのいいスピードボールが注目されている。

一球目。 変化球がすっぽ抜けて高めに外れた、

次は間違いなく直球が来る。

100%以上の確信で静かに打席に立つ。

ベンチで鬼監督が何か言ってるが見向きもせず 相手の先輩投手に微笑む。

二球目、

予想通りのストレート。

フルスイング!

打球はセンターの頭上を越えてゆく

三塁まで行ける!

しかし三塁では際どいタッチプレーになるだろう。

考えながら必死で走る。

暑い、

ヘルメットが重い、

暑さと緊張し過ぎた名残りで足も重い。

スタンドの歓声や悲鳴が遠くで聞こえる。

三塁ベースに滑りこむ、

自分の感覚では「セーフ」 だが、

三塁コーチャーの先輩からの声は 「ゴーだ!ゴーー!」 ???

意味がわからないまま立ち上がり ホームベースを目指す。

後から聞くと三塁への送球が逸れて相手方の三塁ベンチに入ったらしい。

クタクタだった。

いわゆる「ランニングホームラン」のような格好になった。

ホームベースからベンチに帰るまでの間応援席では紙吹雪が舞い太鼓が響いた。

足をもつらせながらやっとの思いでベンチにたどり着いた。

鬼監督が歯を食いしばったまま目だけ笑わせ、

グローブのような手でヘルメットの上から無言で頭を叩く。

おそらく喜んでるんだと思った。

ベンチのみんなも嬉しそうだった。

 

ガッツポーズも スマイルも 水分補給もダメな そんな時代。

翌日 とある新聞に枠が取られた。

「期待の新人現る」

あとにも先にも あれほどたくさんの人を歓喜させることが出来たのは 38年前の、

あの暑かった日だけかもしれない。

前略

かれこれ4年が過ぎました。

あの時は大変で、

3ヶ月くらいは何をしても、ふとすると涙が出てしまって…、

Twitterにもさんざん殴り書きしました。

不安だし

お腹にチカラが入らなくて シャキッとできない。

けど、 見せられないじゃない?

立場的にもさ。

 

一年が過ぎたあたりからやっと落ち着いてきました。

最近は貴方の写真を見て、

にっこりできるし ウインクもたまにできてますよ。

 

強かったですね、 貴方は。

不安もあったでしょうね。

なにしろ 家族で女性は一人だったから。

 

あの手術室に向かうエレベーターに乗る背中、

忘れません。

扉が閉まった時どうだった?

涙がこぼれませんでしたか?

たぶん、

貴方の事だから泣けなかったんでしょうね。

分かります。

 

長い手術でした、

ものすごく頑張りましたね。

僕たちは病院の中の扉が全部ロックがかかってしまって往生しました。

 

「予後が大変だよ」

と、

最寄りの先生に言われましたね。

その通りでした。

貴方の頑張りも凄かったけど 「彼」の我慢も果てしなかったですよ。

お葬式の夜、

不味い初七日の折を持ち帰り、 リメイクしてみんなで白いワインを飲みました。

なんでかわからないけど、あのワインの味と冷たかったのを鮮明に覚えてます。

実は泣き足らなかったんだけど、

みんなの前だし布団の中で泣きました。

貴方が使ってたベッドの上で……。

 

「彼」はその後元気です。

ひとりで暮らしてます。

予想通りです、

島の役員も後進の方々に譲って主に畑仕事をやってます。

畑にはきゅうりに茄子が2種類、ししとうに落花生。

畑を空けると貴方に叱られたのを思い出すみたいですよ。

白瓜が出来すぎて文句言ってますけど元気なんでしょうね。

 

もう一人の「彼」は あの時の彼女と一緒になりましたよ。

仲良くやれてるみたいです。

 

みんな均等に4年を過ごしました。

それぞれだけど、

たぶんバラバラじゃない

来年はまた少し離れるけど

たぶんバラバラにはならない。

も少し頑張ってみますね。

心配かも知れないけど

そっちはそっちの次の事やってくださいね。

元気でね。

 

追伸、

今年はみんなそれぞれに試験に挑戦したけど全滅の様ですよ みんな言わないけどね。

「はははー」って貴方は笑うでしょうね。

 

梅雨の晴れ間にしたためる

今週のお題「雨の日の過ごし方」

雨なのだから…と、

あれこれと構えて段取りしてみるけど

いざとなると 意外に仕事は、はかどらない。

ならばと、 晴れた日に雨の日の用意ができるかというと

そこまで人間ができておらず

晴れた日は晴れた日のように過ごしてしまう。

どうやら雨の微妙な降りようの違いで過ごし方も違ってくるようで、

それ毎の用意は凡人にはなかなか難しい。

台風の雨

通り雨

霧雨

時雨

止まない雨

降ってないけど雨。

降ってるけど降ってない雨。

カンカン照りなのにココロが雨。

映画のようにずぶ濡れでも笑える時もあれば、

傘ひとつで凌げる雨の日もある。

逆に傘をさして出歩きたい時ももちろんある、、。

色んなことをリセットするために降るのかなと思う。

雨上がりの気分は

悔しくても

悲しくても

痛くても

いろいろ辛くても、

少しは清々しい。

淡々と

一杯の決まったコーヒーを飲む

お茶は今は「桑茶」、健康に良いらしい。

何となく仕事の段取りを考える

現実を考えると良くも悪くも頭が冴えてくる。

お茶とコーヒーを交互に飲む

冷めてくるとどっちだか分からなくなる。

手の指先、足の指先を意識してみる

今日も何とか働いてくれそうだ。

桑茶の方がたくさん残っている…

取引先に注文のメールをする。 ついでに私用のも済ませておく。

時間が過ぎていく

次第に体を動かさざるをえなくなるリミットの時間がやってくる。

靴を履き替え、 最近リニューアルした仕事着を着る。

今日はどんな一日になるのかと 不安な気持ちの方を持って仕事場に入る。

神棚はない、 手書きの一文を確認して 「彼女」に目で挨拶する。

おはようの時もあれば、 ありがとうの時もある。

今日は、今日もよろしくねって感じの様だ。

始まるまでのルーティーン、

なかなかめんどくさいが コレがないと億劫な毎日とは戦えない。